応募ゼロの落とし穴は“文章”にあった
「給与も悪くない、休日もしっかりあるのに、なぜ応募が来ないのだろう…?」
そう悩む訪問看護やデイサービス事業者は少なくありません。
その原因のひとつが、ズバリ 募集文が堅すぎること。
条件が良くても、文章が「冷たく・固く・事務的」だと、応募者の心に届きません。
「法律文書ですか?」と突っ込みたくなる募集文
実際の募集文でよくあるのが、まるで契約書のような表現。
「利用者に対し、誠実かつ責任を持ち業務を遂行すること」
「介護業務全般に従事していただきます」
これを読んだ応募者の頭の中には、こうした疑問や違和感が浮かびます。
「どんな一日になるの?」
「スタッフは優しいの?」
「私でもついていける?」
つまり、文章の堅さが応募の壁になっているのです。
働く人は“人間”であって“ロボット”じゃない
堅苦しい募集文を読むと、応募者はこう誤解します。
「失敗が許されない厳しい現場かも」
「人間味よりルールやマニュアルが優先?」
「窮屈そうで働きにくそう」
人は文字から“空気感”を読み取ります。
だから、募集文がカチカチだと「ここで働いたら窒息しそう」と感じてしまうのです。
応募者はエンタメ消費世代
今の求職者層は、日常的にSNSや動画に触れています。
彼らにとって“文章を読む”ことは「体験」の一部。
堅苦しい文章=古臭い・つまらない
やわらかい文章=親近感・安心感
つまり募集文も「読んでワクワクするもの」でなければ、心をつかめないのです。
「堅すぎる募集文」の実例
【ケース1】訪問看護ステーションの例
募集文が「利用者のバイタルチェック、服薬管理、報告業務を誠実に遂行できる方」とだけ書かれていたケース。
▶応募者は「毎日緊張感で押しつぶされそう」「厳しそう」と受け取り、応募ゼロ。
本当は「利用者様に『ありがとう』と言っていただけるやりがいのある仕事」であるにもかかわらず、その温度感が全く伝わらなかったのです。
【ケース2】デイサービスの例
「介護業務全般をお願いします」の一文だけ。
▶あまりに抽象的で「何をするのか分からない=全部やらされそう」と誤解。
結果、誰も応募してきませんでした。
じゃあ、どう書けばいい?
① 耳で聞いて自然な言葉にする
「午前は送迎とレクリエーション、午後は利用者さんと一緒に体操やお話しを楽しみます」
▶仕事内容が目に浮かび、親近感が生まれます。
② 感情を動かすワンフレーズを入れる
「“ありがとう”と声をかけてもらえる瞬間が一番のやりがいです」
▶ 求職者が「自分もそうなりたい」とイメージできます。
③ 禁止ワードに注意
「業務全般」=無限に働かされそう
「責任感必須」=プレッシャーだけ与える
「即戦力」=教育する気がない
これらは避けるべき地雷ワードです。
募集文は“未来の仲間へのラブレター”
募集文は条件表ではなく、会社から未来の仲間へのラブレターです。
ラブレターに「誠実に業務を遂行する者を求む」なんて書きますか?
そんな手紙を受け取ったら、誰も胸はときめきません。
素人っぽい表現が逆に刺さる
意外と効果的なのが、少しくだけた人間味のある表現。
「うちは少人数ですが、その分相談や声かけが自然にできる雰囲気です」
「残業ゼロを目指して本気で取り組んでいます」
「カラオケ好きなスタッフも多い職場です」
こうしたフレーズは、堅苦しい文よりもずっと応募者の心に響きます。
堅い文章は応募を凍らせる
●堅すぎる募集文は「怖い」「古臭い」と誤解を招く
●ケア業界だからこそ“温かさ・安心感”が必須
●募集文は条件表ではなく“人間味あるラブレター”
●少し砕けた言葉の方が応募者は「働きたい」と感じやすい
最後に
訪問看護・デイサービスなど、ケア業界は「人」が主役の仕事です。
それなのに、募集文から人間味が消えていたら、誰も来るはずがありません。
もし応募がゼロなら、それは待遇のせいではなく、文章が堅すぎて誰も近寄れないだけ。
勇気を出して、もっと柔らかく、もっと人間らしい言葉で伝えてください。
「ここなら温かく働けそう」そう思わせた瞬間、応募ゼロは終わります。